メールマガジン「フィンランド」第2号 2007年7月

切手の写真:ヴァデルマ (ラスベリー)
Vadelma
Rubus idaeus

 By Maya and Kari Gröhn

 

 今回はフィンランドの旧都、トゥルクのお祭りのお話です。

 

トゥルク−中世の市場

 

 初めて中世の祭りを見たのはホッロラという小さな村のお祭りでした。ホッロラのお祭りも興味深いものでしたが、さすがトゥルクともなると規模も格段に大きくなります。トゥルクというのは日本でいえば京都のようなものかも、とはカリのコメントですが、この古(いにしえ)の町には昔も今も多くの人々が行き交っています。人が集まるところには自ずと市が立つ。その市場全体を舞台に仕立て、中世の人々の営みを見せてくれるのがこの祭りです。

 

 参加者はみな演劇には素人の方ばかり。しかしみなそれぞれその役になりきっているのには驚かされます。演出にはプロの手が入っているそうですが、それにしてもまあ、司教、役人、職人、市民、乞食、兵士、物売り、貴婦人、どの人も見事な化けぶりです。おかしいのはこの物狂い風の女性たち。これはもうパンクロックのノリですね。兵士にからむかと思えば司祭にしなだれかかったりと、いやもう実に楽しそうに狂女を演じておりました。

 通りでも、パブの中でも、芝居はありとあらゆるところで繰り広げられます。司教のありがたーいお説教にうやうやしく耳を傾ける高貴な人々。けれど、庶民はいつだって正直です。司教の言葉をひとつずつ卑猥な言葉に置き換えて彼らなりの理解を示します。どっと起こる笑い声。いかめしい顔をした護衛の兵士はかれらを叱り付けます。

 

 


「ええーい、頭が高い
ひざまずかんか、こらっ!」

 

 

 さて、別の広場では長屋のおかみさんたちが「あー、かいかいかい...」とシラミだらけの体をかきむしっています。あまりのシラミの台頭ぶりに、どうやら「一同、風呂に入れ」というお触れが出たようです。
  「あたしも入るよっ」
 おかみさんたちは次々お風呂に飛び込みます。
 見よ、この堂々の脚線美!

 

 けっさくなのはエストニアからやってきた可愛い坊やをおもちゃにするフィンランドのおばちゃまたち。

「見た?」
「見た、見た。こーんなの。」

なんて、いったいなーに測ってんだか。

 一方、大事な息子の貞操が危機にさらされているのを見て母親はかんかん。丸い目をさらに丸くして抗議しているのですが − でも、肝心のぼくちゃんといえば、

 おばちゃまたちの歓迎ぶりに、ただただ、うっとりしているもよう。

 

 

 

 


次回は「オーランド」 をお送りします。

 

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