メールマガジン「フィンランド」 第10号 2007年12月

By Maya and Kari Gröhn

 クリスマスが近づくと、店先のウィンドウにはキリストの生誕をイメージした様々な人形が飾られます。
おそらく学校でも子供たちは毎年のようにこのような人形を手作りしているのでしょう。 
 世界各地の民族衣装をまとった生誕劇もあって、毎年趣向が凝らされています。

 

 

蒸気機関車とヨウルプッキ

 さて、12月になって早々のこと。私たちが住んでいるヤルベンパーから二駅先のティックリラという駅にサンタクロースが蒸気機関車でやってきました。
「昔、ヘリコプターでやってきたヨウルプッキを見たこともあるな」とカリ。
 最近ではトナカイたちはクリスマス時期になってもかなり楽をしているようです。

 

 白い煙とともにやってきたのは1950年代につくられたという蒸気機関車。
 ヨウルプッキが機関車からおりてくると、どこからともなく人々がどっとあふれ出てきて、あっという間に見えるのは頭のてっぺんの赤い帽子だけになってしまいました。
 この季節、ヨウルプッキはどこでも見ることができますが、蒸気機関車のほうはそうはいきません。私たちは彼の後を追うのをあきらめて、蒸気機関車の見物に専念することにしました。

  鉄道ファンの方なら興味津々かもしれません。

 

運転手さんがひとりずつ運転席に座らせてくれます

 

 

 

 

 

 

 順番を待つ子供たち。でも、順番を待っているのは子どもたちだけではありません。

 実は大人も乗ってみたい。

 

 客車に入っていくと、これはまたハリーポッターでも出てきそうなレトロな車内です。
 気のせいか座っている人もどこか人間離れしているような。

お茶の用意もしてありました。
みんなセルフサービスでくつろいでいます。

 

列車の名前はヨウルーウッコーペッカ号。
コルバトゥントゥリからティックリラ行きです。

コルバトゥントゥリとはラップランドの地で、ヨウルプッキ(サンタクロース)がふだんそこに住んでいるとされています。コルバトゥントゥリを直訳すると「耳山」ということになるでしょうか。トゥントゥリとは木も生息できない北欧特有の山岳地帯のことをいうそうです。 (英語ではフィエルド fjeld = treeless rocky plateau in northern Scandinavia)
ムソルグスキーの作品で「はげ山の一夜」という曲がありますが、あれはそのようなi凍てついた山のことかもしれません。ちなみにロバニエミのほうはサンタクロースのいわば外交事務所地といったところでしょうか。

 

 

   ヨウルプッキだけならここにもいます
   こちらはポルヴォーのクリスマスマーケット

 
「お譲ちゃん、何か欲しいものはあるかね」

「うん」

「じゃ、この袋の中に向って欲しいものを言いなさい」

「じゃね、キャンディーをどっさり!」

 

 

 

フィンランドの画家たち

 海外で不自由するのが日本の雑誌。たまに人からいただいたりすると、なめるように読んでしまいます。先日、手に入った7月号の「婦人公論」を読んでいると、フィンランドの画家のことをとりあげた文に行き当たりました。平安寿子さんの「逃げ道がないときにこそドラマが生まれる」というエッセイです。

「バレエを見に行ったハンブルグで、街角に貼られていた自画像のポスターに一目惚れし、フィンランドの女性画家ヘレネ シュイエルフベックの存在を知った。この人も中年以降がらりと作風が変わり、1910年代、つまり二十世紀初頭に現代のイラストのようなシンプルなタッチを獲得して、静かで意思的な女性像を多く描いている。」

 これを読んだとき、名前に記憶がないにもかかわらず、またその絵の写真がないにもかかわらず、「あ、あの画家か」と感ずるところがありました。たしか美術館で買った絵葉書はこの画家のものでは。調べてみると間違いありません。 Helene Schjerfbeck (1862ー1946)

 カリに聞いてみると、
「ヘレーネ シュールフベックはフィンランドを代表する画家だ。スウェーデン系の人で、亡くなったのはスウェーデンだと思うけど、もとはたしかこの近所に住んでいたんじゃないかな」

 彼女はヤルベンパーから電車で20分ぐらいの距離にあるヒュビンンカーというところに母親と一緒に暮らしていたそうです。私がはじめてフィンランドを訪れたとき美術館で買った絵葉書は彼女の描いた「少女のうなじ」の絵でした。以来、美術館を訪れるたびに画家の名も確かめもせず彼女の絵を選んでいたようです。
 ただ、優れた画家であることはいうまでもありませんが、自分で持ちたい絵かと問われると難しいところです。心をかき乱される絵というのはやはりどこか自分に訴えるところがあるのでしょうが、いつも乱されっぱなしでは「ちょっとしんどい」かもしれません。ムンクなどの絵も同様ですね。

それにしても、この色合いがもうたまりません。

 

 もっとも、自分の手元におけるかどうか、そんな心配をしなくてもムンクの絵も彼女の絵も私たちの手の届くような金額で買えるはずはありません。
 なにもそんな有名な画家でなくてもいいのです。わたしはフィンランドに来てはじめて本物の絵を身近に置くぜいたくを知ったように思います。

 決して安くはないけれど、ちょっと気張れば買えない金額ではない。絵というのは本来そういうものでしょう。

 下のセリグラフはラッセ マルッティネンの作品です。作風は違っても、ヘレーネの絵と同様、いかにもフィンランドのアーチストの作品という気がします。

このお墓は昨年のクリスマスに北カレリアで撮影したものでラッセとは関係ありません。ラッセはヘルシンキにあるマルッティネン家のお墓に埋葬されます。

 カリの師でもあり友人でもあったラッセ マルッティネンは残念ながら11月の末に81歳で亡くなりました。このマガジンが発行される12月15日には彼のお葬式が営まれる予定です。クリスマスに墓地を訪れるのはこちらの習慣ですが、今年は例年より寒さが身に沁みそうです。
「ま、でも、あれだけ飲んで81歳だからなあ」
 カリは自らをなぐさめるようにつぶやいておりました。

 

ラッセ マルッティネンのウェブギャラリーはこちらから

http://lassemarttinen.karigrohn.com/

 

 

 
  最後にクリスマス風景をもうひとつ

  家の中にはクリスマスツリー

 

 

窓をみれば自然の見事なデコレーション。

 

 

 

 

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*12月13日はルチア祭を見物してきます。

*前号でもご紹介しましたが、クリスマスカレンダー、お楽しみいただいているでしょうか。

http://www.positiivarit.fi/joulu/english/index.html


 

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